サンルーフが取付出来ないケース(ビード・FRPルーフ等)

ベバストサンルーフの基本的な取付方法は、ルーフ切断開口箇所をサンルーフのアッパー(車外側)、ロア(車内側)のフレームで挟み込み、一周均一に適切なトルクで締め込む事で防水性を確保します。
[画像赤丸箇所(アッパーフレーム・シール材・ルーフ鉄板・ロアフレーム)]を参照

上記の通り製品の構造的な理由により、サンルーフ取付位置がビード(凹凸のプレスライン)に干渉する場合や、極端に丸いもしくは、平らで厚みのあるFRPルーフなどは原則、取付が出来ません。

※ビード・FRPルーフも条件(形状・高さ/板厚…等)により一概に言えませんが、主に以下の事項①〜③が問題になります。


  1. ①サンルーフフレームとルーフ面の隙間
  2. ②ルーフの湾曲率と強度
  3. ③ルーフの板厚

①サンルーフフレームとルーフ面の隙間

主な不具合症状:雨漏り

ルーフに凹凸が有る場合、ルーフ凹部(赤矢印箇所)は、アッパーフレームがルーフ外面に接触しないため隙間が生じます。

また、車内側からはルーフ凸部(青矢印箇所)に、ロアフレームがルーフ内面に接触しないため押さえがきかなくなります。
上記理由により、仮に外装凹部をコーキング等で防水処理をしても、それだけではいづれ浸水してしまう可能性が高くなります。

②ルーフの湾曲率と強度

主な不具合症状:サンルーフフレームの変形や破損
   (変形による誤動作・変形によるガラスパネルの浮き上り/破損による雨漏り)

ベバスト社製・サンルーフ取付キット(ホランディアシリーズ)は、標準的なカーブの金属ルーフに取付出来る様に設計されていますので、サンルーフフレーム/ガラスパネルも湾曲しています。
極端に丸い、もしくは平らなルーフには取付出来ないケースも有りますが、標準的な金属ルーフの場合、板厚1mm以内の薄い鉄板ですので若干の湾曲率の違いであれば、ある程度ルーフ側がサンルーフに馴染んでくれます。


ルーフに凹凸が有る場合、凹凸の高さや形状により画像青枠「ルーフ凸部(湾曲率が合わないので右側◯はシール面とルーフ面に隙間が出来ている)」の状態が発生します。

これは平らなルーフでも起こりますが、凹凸部や平らで厚みのあるFRPルーフは、ルーフ面の強度が強いので、この状態でサンルーフ固定ネジを締め込んでも、サンルーフの湾曲にルーフが馴染まず、規定トルク内での締め付けでは防水シールが密着しません。
この場合、オーバートルクで無理に締め込んでしまうと、フレームの変形・破損が発生する可能性が有ります。

※標準的なカーブの金属ルーフに、規定トルクで取付されている場合は上記画像の様な破損はおこりません。


③ルーフの板厚

(主な不具合症状:ラッチハンドルが全閉ロック位置で固定出来ない・モーターギアすり減り)

標準的な金属ルーフは板厚1mm以内の薄い鉄板ですので、サンルーフの取付に許容する板厚はそれほど大きく有りません。
サンルーフのアッパーフレームとロアフレームの間に挟み込む最大許容板厚を以下に記載します。

  • Hollandia 100 Ⅱ:2.2mm以内
  • Hollandia 300 Deluxe Large:2.2mm以内
  • H300 Comfort:1mm以内
  • Hollandia 400 Deluxe Electric:3mm以内

  1. 最大許容板厚を超えてしまう場合、付属のサンルーフ固定ボルト/ナットが、とどかなくなる場合が有ります。
  2. 手動式ガラスサンルーフ「Hollandia 100 Ⅱ」はラッチハンドルが全閉ロック位置で固定出来なくなり、ウエザーストリップとガラスの密着があまくなる為、浸水のリスクが高くなります。
  3. 電動式の場合、モーターのスプライン軸が奥まで差し込めなくなる事で、ギアのすり減りが発生して、パネルの開閉が出来なくなる可能性が有ります。

ベバスト社製・サンルーフ取付キット(ホランディアシリーズ)は、ビード部へ取付するように設計されていません。
但し、ルーフの凸凹は、業者さんによっては、製品加工、防水処理や鈑金処理などで、上記不具合リスクに対応して、問題無く取り付けてしまうところもあります。

ベバスト社は決して推奨していませんが、後付商品ですので様々な事例があります。
最終的には、取付する方の技量次第と言うことになりますが、①〜③で説明致しました破損や、製品を加工(フレームを削る等)した場合、メーカー保証が受けられなくなる可能性が有りますので、作業実績の有る業者さんへご相談頂くことをお勧め致します。